そこのお前の外資系勤務と与太話ブログ

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働き方改革の本当のゴールがわからない件

 

ここ数年、いろいろ議論が百出しているわけですが、将来のステップと目指すところって、こんな感じだと思っていたんです。

 

1、働き方改革の名のもとに労働時間を一気に削減する。

=>最終的な狙いは働き方改革によって個人の労働負担を調節できるようにする。

=>過重労働をデファクトスタンダードとせず、各種法制と実態を合わせていく。

=>これにより生み出された余剰時間を消費に充ててもらうための施策。(サマータイム議論も同様)

 

2、改革後、今までは正規雇用に参入しづらかったグループ(女性、特に妊娠・出産後の女性)の参入障壁を減らすと同時に、1で個人の労働負荷を減らすことによるさらなる雇用人員枠の創出

=>雇用人員枠の創出に関しては自動化・機械化との相殺が働きますが、少なくとも個人の負担減による参入障壁の低減がメイン

=>これによる人手不足への対抗策

 

3、その後、増えた雇用枠と全体の平均賃金向上により、個人・世帯当たりに分配される金額の向上と増える仕事以外の時間によって、消費を活性化し、企業の成長を促す。

人手不足解消により、企業の成長が達成され、人当たりの収入を上がる傾向に転じさせ、保育無償化等の施策と併せて子育てへの障壁を低減する少子化対策も兼ねる。

=>すると、さらに経済は活性化し、同じ仕事量でも規模が大きくなることで出る成果が大きくなる。

 

 

4、若年層の人口が増えることによる安定的な成長に転じる土台作りを目指す。

少子化対策を行うことで人口増加に転じることを目指し、更なる税収を図る。

=>ここまで全部税収を上げることがメインになっています。結局、消費税増税所得税の段差の調整もその一環ですよね。

とまぁ、超絶シンプルに整理すると結局こういう狙いだと思うんです。

 

とはいえ1-3に横たわる課題を見て、かなり砂上の楼閣のような印象を受けます。

 

ただし、これでうまくいくのかというと、もうすでに1の段階でものすごい議論の衝突が生まれているわけです。

仮に成功するとしてもこのステップを完遂するまでに30年ぐらいかかるんじゃないかとか思ったりしますが、少なくとも狙いはこう見えます。

 

結局、8%に上げた時もそうでしたが、税負担増が先にくると消費は落ち込み、成長サイクルに向かって推進する力を抑える作用があるんじゃないかと直感的には思いますが、それでもそっちの方がベターだという結論に至ったのでしょう。

(※必ずしも国民にとってベターという意味ではない。もしかしたら、「税が上がることで家計負担が大きくなるから共働きを促進する」とかいうのが本音かもしれません。先に捻出したいお金があるのかもしれません。)

 

2における雇用枠の創出についても、単に頭と手足があればいいという雇用枠にはならず、機械化及び自動化に伴って労働市場における必要な人員の配分が変わっており、よりそれらの機械等を駆使して仕事を行うなど新たなスキルに対応した人が必要になります。

 

つまり、全体的に必要とされる能力が高くなることが想定されるわけですが、これが正規雇用に参入しづらかったグループの人にとって果たして本当に参入しやすいのかについて考える必要があります。

 

製造業のオペレーターだって簡単ではありませんし、ホワイトカラーの職もどんどん自動化の波によって削減傾向にあります。

かといってITエンジニアやAIなど最先端の方向に舵を切ってキャリアシフトできる可能性も限られてきますし、現実問題、選択可能なキャリアに対しては様々な制約が立ちはだかっていると言えます。

 

これからキャリアを描く就職世代やまだ妊娠・出産を経た後に専業主婦に転じていない世代は比較的問題なく波に乗れるとは思いますが、一度キャリアから降りた人や現時点で非正規雇用の人が簡単にそういった部分に参入できるかという意味では解決されなければならない課題が残ると思われます。

 

同時に、企業としては機械化・自動化にかなりの投資とリソースを割いているので、そこで得した分を新しい雇用につなげようとするインセンティブが本当に生まれるかは不明です。

 

特にこれだけ非正規雇用が定着している中で非正規雇用の賃金を上げる同一職同一賃金の取り組みや派遣法改正による無期雇用化ですが、そこの賃金を上げられてしまうと企業が考えるのは自動化と機械化による代替で、省人化していくか、正社員化して責任範囲を広げて負荷を高めるかといった発想になります。

すると労働者が受けるベネフィットはほとんどないといえます。

 

 

これも、個人の所得が上がった前提ですが、最低賃金が上がっただけで消費が促進されるのでしょうか?

結局税負担も上がるので、増えた最低賃金もある程度相殺されて効果が薄れますし、生活物価も着実に上がっていることから新しい消費を作り出すに至るんでしょうか?

インフレという意味では総額は上がると思うので、消費が促進されたように見えないこともないとは思いますが。。。

 

結局、追加の消費が伸びないと企業も伸び切りませんし、税収も上がりませんよね。

すると、所得据え置きで、かつ追加消費が伸びず、子供も増えにくくなるままになるかと。

 

一番最悪なシナリオを組み合わせると

働き方改革で残業代を稼げなくするシステムとなり。夫が働けなくなることで家庭の総収入が落ちた。

妻はいったん専業主婦になったものの、収入減と税増で家計が苦しくなったことで働こうと考えたが、働ける職種は恐ろしく限られており、出来そうな業務は機械化によってほとんどが削減されており、働き口が見つからなかった。

 

結局、全体での収入は減り、伴って税収も減るシナリオですね。

 

本当にこれがやりたかったのかな。。。。

なんて思います。

 

 でも、本当に機械化が進んで人が働く必要がなくなったら本当にベーシックインカムを考えたほうがいいんじゃないかと思ったりしています。

そうじゃないと働く必要がないのに働かざる者食うべからずって感じの世の中になるし。。。

 

全くグランドデザインがわからない。。。