【キャリア】不毛で面白くない社内争いの話【外資系企業】
醜くて不毛な社内争いの話
会社員たるもの、出世や昇進・高評価を目指す場合や現状を維持する場合、社内での競争をどうしても避けて通れない場面が出てきます。
正論を言えば
会社として成果が最大化される事が理想で、会社内競争は愚かである。
という話なんですが、そう簡単には行きません。
中で働いているのはそれぞれに事情を抱えた別の個人ですし、個人それぞれが会社や仕事に対して抱くモノや必要とするモノは異なります。
故にどう頑張っても競争や対立は生まれる可能性を排除できません。
これを大雑把に拡大すると、実力主義・成果主義の会社であればあるほど競争を激しく作り出す環境があるわけです。
今日はそこのお前が巻き込まれた面白くない出世競争の話をします。
そもそも、会社の中での出世競争や覇権争い、お互いが切磋琢磨し、認め合うアツい青春漫画のような関係であるならば問題ありません。
最後はどっちもいい結果をつかみ取り、いずれもハッピーエンドにつながるのであれば問題ありません。
ですが、現実のほとんどはそういう風にはできていません。
世界は残酷なのです。
限られた枠をそれよりも多い人数で争い、勝者と敗者がくっきり分かれる場合がほとんどです。
社内だけで見れば天国と地獄です。
プロスポーツの方がもっと残酷で、競争に溢れて勝者と敗者の格差は尋常ではありません。
が、サラリーマンですら競争があるのです。
プロスポーツ程あからさまではないものの、競争する相手は様々です。
競争する相手
会社がライバルとしてあてがった人
他の昇進候補
自分の直属の上司
同じチームの先輩
急速に成長する後輩
誰がどう競争に絡んでくるかはその場次第ですが、とにかく競争相手はいつもどこかにいるものです。
あるいはあまりにも突出してしまう場合は周囲全員が敵になったりするかもしれません。
競争内容
また、競争の内容すらも一定ではありません。
いかに相手をたたきつぶすか
いかに相手よりも先に多くの成果を挙げるか
いかに人事や上司陣によく思われるか
などなど多岐にわたります。
正直、疲弊します。
相手はどうだった、自分はどうだ。
常に細かいことでも比較するようになり、はっきりと勝負がついていないと不安で不安で仕方がなくなります。
もちろん脳のリソースを食われるわけです。
このスパイラルにとらわれると正常な判断力を失う可能性すらあります。
競争が起こる理由
さらに、人が競争する理由も様々です。
こいつにだけは絶対負けたくない!
もっとお金や評価・名誉が欲しい!
ただただ競争が好きだ!
なのかもしれないですね。
そんな醜く、目を覆いたい出世競争の話です。
巻き込まれた社内抗争
まず初めに強調しますが、そこのお前は平和主義者なのです。
基本的に無用な争いは好みませんし、ことさらにケンカをしたい人間ではありません。
が、それでも生き物である以上、自分自身が快適な環境が奪われない生存本能を刺激されるような場面では黙って滅ぼされるほどまでは平和主義者ではありません。
そんな本能が発現して巻き込まれてしまった社内の不毛な争いの話です。
そこのお前には数年先に入社した先輩がいました。
その先輩は非常に社内では有名で評判のいい方でした。
若くして昇格を重ね、若手勢の中では絶対的エースとしての地位を獲っていました。
社内外を問わず広く信頼を集め、非常に活きのいい人管理職になることを嘱望される人です。
そんな先輩がある日そこのお前のチームにやってくることになりました。
立場としては課長代理的なポジションで異動してくることになり、当時の直属の上司とそこのお前の間の階層として差し込まれることになりました。
ただ、問題はその先輩、2つの競争を命じられたことです。
1、会社・部長からは直属の課長との競争を強調されました。
要は下剋上です。
が
2、直属の課長からはそこのお前との競争を強調されました。
こちらは成長しつつある後輩を抑えて風格を見せることです。
これが物事をややこしくします。
個人的には1の競争で直属の課長よりも先輩に勝って欲しかったので非常に仲良くやろうとしていましたが、直属の課長からはそこのお前との競争を強いられます。
非常に手綱取りが難しい場所です。
先輩も直属の課長と競争しようとしますが、そうなると直属の課長もうかうかしていられません。
むしろ若手の絶対的エースがすぐ背後まで迫ってきている分、危機感すら抱いていたといえます。
そこで直属の課長はそこのお前と競争をさせることで直接対決をかわそうとしたわけです。
課長と課長代理にはまだまだ権限や情報量に多くの差がありますし、既存の積み上げた人脈や信頼も隔離してあえて差を詰めさせないようにしたわけです。
課長の持つすべての秘密は隠した上で勝負の土俵に上げないやり方を取りました。
非常に陰湿ではありますが、効果的なやり方です。
課長としてはまだ若く、脅威にもならないそこのお前よりも絶対的エースに何としても勝つことが裏の至上命題でした。
そうすると、正攻法で一から積み上げて攻略しなければならないわけですが、そこでエース先輩とそこのお前と競争を強いられることになります。
そもそも先輩にとっては初経験の業務領域・そこのお前にとってはすでに1年程度は業務をこなしている勝手知ったる領域でした。
スタート時期が早い分、そこのお前の方が多くのアドバンテージを持っているわけです。
それにチームの抱えるタスクとしても、同じ部署内で競争しても悲惨なパイの食い合いになることが見えていたので、あまり生産的でシナジーを生み出すとは言えませんでした。
方法としては今あるものをうまく譲り合い、会社として最も成果を得られるようにするぐらいでした。
見つからないWin-Win
100ある課題を50ずつに分担し、一人だと75ぐらいまでしか達成できないものを2人で100にするという方法です。
ですが、これには問題点があります。会社としては100になりますが、個人評価は均すと50になってしまうのです。
この状況において、100から先を150、200にするほどのミラクルはなく、今ある仕事の悲惨な食い合いをせざるを得ない状況でした。
そこのお前にも先輩にもお互いにも譲れない理由があります。
そこのお前はまだまだ社内で信頼を得たとは言い切れず、足元のおぼつかない弱い若手でした。
とはいっても評価を高めつつあった時期であり、この状態をキープするには今ある自分の領域を死守するしか選択肢がありません。
逆に、絶対的エースの先輩は早くこんな課長を駆逐して、下克上を達成し、さらにゆるぎない地位を獲得したいと考えます。
そのため、そこのお前は大事な後輩であっても黙って譲るわけにはいきません。隙あらば割って入った方がいい評価を得やすくなります。
とはいえ、先行者優位なことは間違いなく、先に主要なプロジェクトを自分でコントロール可能な範囲で握っているそこのお前からすれば譲る理由はそう多くはありません。
上記の例に立ち戻ると75は自分で達成でき、25を先輩に譲るというのがそこのお前にとっては理想的になるのですが、それでは当然納得されません。
次に、エース先輩からの打診で一緒にやったことにしようという話になるのですが、そこも課長が鋭く目を光らせ、潰しに行きます。
結果的に致し方なく、残った25の部分+新しい部分を見つけることを狙うように戦略変更を強いられたわけです。
ですが、最も茨の道です。
最終的に望むように結果を出しづらいことを悟った社内の絶対的エースは会社を去りました。
ただ、そこは絶対的エース、転ばされてもただでは起き上がりません。
社外でより良い待遇のキャリアをつかみ取り、転職しました。
1人のスーパースターは会社を去りました。
育成の末に羽ばたこうとした若手は社内で羽ばたくのではなく、社外に羽ばたいていきました。
そこのお前は自分の領域を無事完遂し、成長軌道を維持することができました。
直属の課長は喉元まで迫られかけた自分の地位を守ることができました。
当初の会社からの目論見である絶対的エースの更なる飛躍と会社にとっての支柱化に育てられるような目論見はすべて一瞬にして崩れ去りました。
残った結果はエースの喪失と世代交代の失敗。
非常に面白くない結果です。
会社の他部署の人間も行く末を見守っていましたが、直属の課長が老獪なテクニックで人事会議をうまくとりなし、チェックメイトです。
正直、これに巻き込まれた時はひりついた空気感を味わい、健全なモチベーションの居場所をなくしました。
自分の領域を守った安心感とスーパースターと共存できなかった罪悪感。
結果的には困ったことは荷はならなかったわけですが、競争に勝っても負けても違う人間になってしまった気がします。
もうちょっと一般論に拡大すると、勝てばさらに上のステージに行くことはできますが、その勝利が大きければ大きいほど成功体験として深く刻まれ、同じ戦い方をする競争大好き人間となりやすくなります。
負けたら負けたでそれまでのスタイルを否定されることになる訳ですが、跳ね除けるためには競争に勝つことを求めるか、開き直って自分の好きにするかしかありません。
正直、理想は競争もせず、ただ自然体で仕事をするだけで自然と持ち上がっていくことですが、そうそう実現できるものではありません。
そう望んでいたとしても手を伸ばせば届くところまで来ていると逆に最後は競争に勝つための方策を取ってしまいやすいのは人間の性です。
振り返って自分もこのループの中に組み込まれているという現実を理解しました。
そこのお前の会社は外資系企業であり、成果・実力主義を標榜する以上、望んで選んだ環境でありますが、それでも苦い気持ちを感じてしまいます。
成果・実力主義が好きだったというよりは、グローバルであり、フランクで縛りの少ない会社であることが好きで入った会社です。
露骨な競争はむしろビビりで臆病なそこのお前にとっては得意ではない分野です。
ですが、巻き込まれる形で残酷さを理解する結果となりました。
おそらくこれは外資系企業では多いのかもしれませんが、必ずしも外資系企業に限らないとは思います。
ですが、20代前半という早い段階でこれを経験したことで、そこのお前のキャリア観に大きな衝撃を与えたのは言うまでもありません。
実はこの話には続きがあります。
スピンオフストーリーとでもいうのでしょうか。
それはまた後ほど。
会社の中で起こる争いはドラマがあります。
ですが、当事者以外からしたらものすごく醜い争いです。
どんな会社もイメージ広告のように美しくはありません。それどころか見るに堪えないほど醜いことが行われていることすらあります。
望まずして巻き込まれたとしても、自分にもそういう血が流れていることを認めざるを得ず、受け入れなければならないこの先の人生を考えるだけで胸が痛い。
そんな古傷を抱えてキャリアを歩んでいくことでしょう。
おそらく、そこのお前の外資系企業だけでなく、あらゆる世界で起きているでしょう。
果たしてそれは本質的な幸福をもたらす道でしょうか。。。
それを考えねばなりません。