そこのお前の外資系勤務と与太話ブログ

凡人が行く外資系企業勤務やキャリアの与太話や裏話。緩いのと辛いのまぜまぜ。人見知りやビビりだって人生案外イケるじゃんって思ってもらうための与太話。毎週月曜・水曜・土曜日更新予定

【海外赴任】欧州での個人の成長について【キャリア】

 

そこのお前は縁あって欧州の超大企業を経験することができていますが、そこで感じたことを書きます。

 

欧州、管理職連中には全く異なる文化が存在しますが、少なくとも非管理職にとっては非常に生きやすい環境です。

よっぽどのことがない限りクビにはならないし、成果が出ない人は人に非ずといったような仕事の出来の良さだけで人を判断することも少ないです。

(国によりますし、たまにはとんでもないタイラントボスもいますが、基本非管理職は非常に居心地がいいです。)

 

ただ、あんまりアドレナリンが出たりする燃える機会ってない気がします。

良くも悪くも、ゆったりと着実にというのが彼らのペースで、仕事におけるアドレナリンギンギンの世界はスポーツとか一部の業界(金融トレーダーやフルコミッションの営業)に限られている気がします。

 

無理させないし、無理しない。

もしかしたらそこのお前がいる企業の欧州本部機能がそうなだけかもしれないですけど。。。

 

いずれにしても、最近のトレンドは欧州でも大企業に勤めて安定を享受するよりももっと自由に自分のビジネスを小規模でも展開することだという風に変化は訪れているようです。

特に欧州という経済圏は陸続きという事も含めて一国に留まらない大きさを持っていることから、ネットで火が付けば規模は非常に大きくなりやすいので、そういった選択肢が取りやすいのかもしれませんね。。

 

とにかく、そういった社会全体の雰囲気も踏まえて本当に安定した生活を送ることができています。

 

みんな自分のペースを保てているから疲弊していないし、お互いが疲弊しないように休むことを重視して配慮してくれる素晴らしい環境であることは間違いないです。

そこのお前も日本時代に蓄積させた疲労は完全に取れ、仕事以外の時間を持つという事についてよりいい活用の仕方をこのブログを書いたりしながら考える余力ができるわけです。

 

これって本当にいいこと。

 

なんだけど、

 

みんな仕事にアツい想いを抱えたりしないから、あっさりと仕事も切り上げるし、燃えるような仕事に出会う機会はなかったです。

 

日本時代の働き方が結構しみ込んだそこのお前にとっては物足りなさを感じることも多いなぁと思います。

 

日本の若い世代が己の限界まで挑戦し、目標達成や困難を乗り越えるために努力することを青春と呼んだりするが、彼らにはいわゆる青春要素はほとんどないです。

 

高校や学生時代からあまりそういうことをしないからなのか、本当に安定した一定のペースで働く人が多いです。

 

同時にワークライフバランスはいいですが、ワークの時間はあまりにも淡白で無味乾燥です。

職業上の必要なコミュニケーションをもちろんとるし、普通に仲良くもするが、取り立ててアツい想いを持つような仕事はないです。

ライフは圧倒的に自由でゆとりがあり、素敵であるんですけど。。。。

 

そういう意味では仕事の場であっても頑張ろうと促し、お互いがあきらめないで頑張って最善を尽くすために励ましあったり、助け合ったりするという文化は悪くないと思ったんです。

 

この差は外資の日本支社と外資の海外支社・本社の間でも結構な違いがあるし、この文化の問題はそのアツい想いを燃やしたり、全力で当たることが当然の義務のように扱われ、きちんと評価や賃上げにつながらないことですが。

 

まぁ、細かい文句はさておき、こういう働き方、なんだかんだで好きだったと思った。

そこのお前はコテコテの日本人ですからね。

 

さて、そんな文化を持つ日本人と日本企業を外から見て、もう一つ、個人的な意見としては、働き方改革の名のもとに全年齢、全性別、全業界すべて画一的に同じ基準に合わせようとするには無理があると思います。

 

特に人生におけるキャリアの構築の仕方で、家庭がある労働者やすでに残り短いキャリアの個人と独身で駆け出しの個人とでは実力やモチベーションも違いますし、キャリアにおける必要な鍛錬の内容や方向性も大きく異なります。

 

やっぱり、人生の中では集中して働く期間があってもいいと思いますし、逆に極端に働かない時期を作るようなトータルバランスでの構築に向けて視野を広げたほうがいいと思います。

 

特にこの働き方改革によって、より多くのまとまった時間を必要とする個人の鍛錬ができなくなることは大きな機会損失を招くことになると思われます。

 

年上になればなるほどふんぞり返っていてすむように見えてしまう欠点は置いておいて、若い時にハードワークで自分自身を鍛え、細かいところや複雑なことに対処して100%以上を目指すことを奨励することはとても意味のあるよい文化だと思います。

 

日本でやっている働き方改革で目指すところは欧州のいいところではありますが、日本人のいいところを殺す意味合いも持っており、それを補うほどの社会的なメリットが出るかどうかについては十分な議論がなされているとはいいがたいと思います。

どちらかというと労働時間数だけが先行しているような状態でしょうか。

 

そもそも、社会人の前に、受験戦争が激しかったり、部活が厳しかったりといろいろなハードワークの文化が日本にはありますが、これが日本人の質を担保していることも間違いありません。

 

不思議なことに、これを大人だけは常に一定の時間で区切り、業務におけるハードワークや効率的でないやり方を一切許さない雰囲気を作っていくことは果たして本当に正しい方向なのかと感じてしまいます。

 

過重労働をやらされている人は拒否することができる権利として魅力的ですが、あえて成長のために仕事をしたいという気概がある人にとってはとてもやりにくい世界になるかもしれません。

 

頑張れと叱咤される子供たちにとっては非常に不思議に映る気がしますし、大人って楽でいいななんて変なバイアスをかけるんじゃないかと。。。

 

つまり、これの意味するところは、厳しい状況を跳ね除け、成果を掴むことの喜びだったり、いろいろ模索をする中でこだわりぬいて想像を超えた成長を手にするといった興奮を味わうことを知らない社会になりうるということです。

せいぜいスポーツアスリートや研究者ぐらいでしょうか。

非常に限られた領域になってしまいます。

 

そして、日本人個人が潜在的に更に競争力を失っていくことが懸念されます。

要はいままで強みとしてきた部分を放棄するわけですから、また一からスタイルの作り直しです。

これは守備重視の戦術がいきなり打って打って打ちまくれに変わるぐらいの変化になります。

 

この変化によって個人が競争力を失えば当然組織的にも総合力が落ちてくるわけですが、これは日本企業が国際社会の中で相対的に弱っていくことを意味します。

まぁ、それでもなんだかんだ生きていけると思いますし、困ることはないと思います。

 

ただし、個人が世界で生きていくにあたって、個人の競争力の低下はもしかしたら最後には個人の首を絞める結果になるかもしれません。

ハードワークをしないことで、給料が高かったり、待遇のいい競争の激しい業界やポジションで淘汰される可能性が高まります。

 

常に画一化されたマニュアルワークだったり、効率的でシンプルな比較による判断を繰り返すだけではなかなか経験が付きません。

スーパーマンはスーパーマンでいることはできるでしょうが、数をこなして時間をつかって育たなければならない人にとってはかなりハードルが高くなると思います。

短期的で時間的な効率の観点からそういう育成人事をしなくなった場合、一から鍛えあげていくことができる場が限られてくることになります。

 

さらに、国内での競争だけでなく海外から入ってくる資本や人材・技術に様々なエリアを持っていかれることになります。

特にこの働き方改革は個人対個人の争いで競争力を失うことを意味しますので、今後は言語の壁も突破されると予測されますから、日本語が喋れない人とも同じ土俵に上がってこられて勝負され、負ける可能性が生まれてくるわけです。

 

なので、個人のキャリア志向に合わせた労働時間の調整や柔軟化も併せて議論に上がると個人のキャリアにとっては非常に有益な発展になるんじゃないかと思います。

それに欧米が是とする成果と日本が強みとしてきた成果の違いを認識した上でこれらの議論に柔軟性が持てるフェーズに入ってくると理想的かなと思います。

 

特に欧米のエリート層は結局労働時間長いですし、日本もハードワークしたい人はできるような状況を許してもいいような気がします。

 

そんじゃまたね。