【外資系】世界に轟く最恐エリートの話 -その1-【体験】
そこのお前の会社に一人のグローバルエリートがいた。
その男は身一つで出身のフランスから各国を巡り、様々な職務を歴任し、世界展開する大企業のアジアエリアの部門統括職になった。
外資系企業に轟くエリートというわけだ。
彼にはエリートとしてふさわしい頭のよさがあった
頭の切れが良く、何よりもどんなことでも限界まで挑むという気概の持ち主であった。
何としても自分の欲しいものを手に入れる。その執念においては圧倒的な違いがあった。
彼のエリートとしての信条
不可能なことは存在しない。いかなる努力・犠牲を払っても目標とされた数字は達成する。
ブラック企業と揶揄された某企業の人も同じようなことを語っていた気がするが、事実、彼はこれまでの多くのところでその信条を体現してきた。
そして昇進に昇進を重ね、登り詰めた。
だが、彼の通ってきたエリート道の後ろには無数の死体が転がっている。
あくまで比喩表現で、物理的に殺したわけではない。
彼の下、上記の信条を体現するために必要な成果を上げるために限界まで酷使され倒れた部下、途中で蹴落としてきた出世のライバルである。
そして、彼はそれを振り返ることはない。
彼は過去に興味がなく、将来の彼にとって重要か否かのみ考える。
このマインドが見え透いてしまうことは外資系企業であれど自国にとっての会社の存在意義や会社・組織自体について真剣に考えている人間からするとどうしても距離が埋まらない溝になる。
こうして、彼と働くことになってしまったが故に、その地区にいるローカルの才能ある者は志と能力を大なり小なり搾取されることになる。
その一方で、他のグローバルエリートがどうかはわからないが、彼は彼個人の最終的な勝利のため、組織での求心力を得るために、まるで聖職者である可能ような顔をすることもある。
そして、彼は今日も社員に向けた演説でこう言う。
「人材は何よりも大切だ。我々は機械ではないし、会社の部品でもない。心を持った人間である。そして、私は人間を愛している。」と
いかにも外資系企業が好きそうな言葉を並べるわけである
内心、よくもまぁいけしゃあしゃあとそんなことが言えたものだと全員思うわけだが、その面の皮の厚さ、部下を酷使する支配力と生来の頭の良さでこの世界をのし上がっているわけだ。
その原点となる彼自身のエピソードがあるらしい。
彼は学生の頃に事故に遭い、人生の岐路に立たされたそうだ。
この後の人生を棒に振って勉強を続けて大学の単位を取るか、勉強はいったん諦め、体を治すことに専念するか。
その時、医者にこういったそうだ。
「何としても、直せ。そして、勉強も続けさせろ。もし無理なら可能になるまで医者を変えると。」
学生が医者に強く言い放つだけでも驚きだが、この頃からはっきりと他の人との違いが判るぐらいに人生における執念を持つことを意識するようになったようだ。
いわゆるエリート意識
最終的に彼は総取りした。二兎を追い、二兎とも捕まえた。
この成功体験がその後の彼を強く支えた。
そして、月日は流れ、立場も上がり、学生が医者に言う生意気では済まされなくなったころに、彼はその執念を部下やもっと下に所属する人間にも求めるようになった。
だが、その執念は必ずしも部下が部下の人生のために持つ執念と同じではなかった。より正確には部下が彼のために持つ執念を求めていた。
当たり前だが、人が誰かのために持てる情熱や執念には限界がある。
ましてや家族でもなければ、付き合いの長い友人でもない。自分の会社のことでもなく、自分の国でもなく、自分の昇進ためでもない。
外資系エリートのためにすべてをささげるということ
会社のKPIという冷血な数字のみで評価され、今ある任期を昇進のための1ステップとしか考えない上司について持ちうる情熱は熱しにくく、冷めやすい。
結果、共鳴する人はいたかもしれないが、多くの人間が使いつぶされた。
クレバーな人達は耐えきれなくなる前に外に出ることを選んだ。
また、ある人は大きく歪曲され、部下に同じような態度で接するように変貌を遂げた。
ある人は心を無にし、任期が過ぎるのを待った。
結果、彼に従わざるを得ない恐怖によってつながる主従関係をつなぐ軍団が出来上がった。
激しいプレッシャーと各人の正常な判断能力を削ることで屈服させられた数多の人間が今日も命を削っている。
他でもないグローバルエリートの昇進のために。
一将成りて万骨枯る。
まさに、この言葉がふさわしいと思う。
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このエリートを見て、これがグローバリズムの縮図だと思い知らされました。
が、その反対に、自分が異国の地で働くまたは組織を率いると仮定した時に果たして自分は働く先の国にどこまで馴染んで感情移入し、かつプロとして要求される結果を残すかという点について考えさせられました。
あれ程の職位になると簡単にクビになり、求められるレベルも非常に高くなります。何振りかまっていられない場合もあるでしょう。
現実的な個人の利益を考えた時に働く先の国の一人として尽くすよりも雇ってくれている本国側に尽くす選択をしなければならないときがほとんどだろうと思われます。
家族ともバラバラに暮らしますし、友人やその他気を許せる人間も周りに潤沢にいるとは限らないですしね。
いろいろな人生の幸福を犠牲にしている分、莫大な報酬と特権、名誉と箔を得ることができるわけですが、どんどん常人とはかけ離れた領域に到達し、ますます心を通わせるのは難しくなってくるんじゃないかと。
海外でなくとも、世界展開する超絶大手日系企業のそれなりの職位の人も同じ苦しさを味わっている人がいるかもしれないとも感じます。
世界に名をとどろかす大企業ならではの現象かもしれないですが、外資系企業の一支社で働くということはそういうことなのかもしれませんね。。。
それが見えたうえで接することができればもう少し世界は違うように見えてくるだろうか。
どうせ一緒に仕事をするならもう少しそういった上の世界の景色が見えてくるといいことがあると信じています。
ちなみに、そこのお前が欧州赴任時や日本に来る海外勤務の人と話を聞く範囲では、フランス人・イタリア人とインド人にこういった支配的なマインドを持つ人が多いらしいです。(※あくまで周囲の印象です。普遍的な真実ではありません。)
そこのお前も海外で働くときは気を付けろよ!と言われました笑
さて、次は、このグローバルエリートの下でどんなことが起きたかをグローバルエリート目線ではなく、仕える側目線で書いてみたいと思います。
ほいじゃ!