そこのお前の外資系勤務と与太話ブログ

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【ヨーロッパ】欧米の労働観と労働以外の時間について【働く】

どもども

 

前回は欧米のスーパーエリートの話をしましたが、今回はより一般的な労働観についてつらつら流していきます。

 

 

sokono-omae.hatenablog.com

 

 

日本時代にいろいろかけられてきたバイアスがなくなっていく思いがありましたので、実感を込めて書いていきます。

 

日本には欧米の労働者には下記のステレオタイプをよく見かけます。

特にヨーロッパで働いていますっていうとこんなことを確実に聞かれます。

  1. 欧米の人は残業せずに必ず定時で帰り、以降仕事をしない。

  2. 欧米の人は非常に効率のいい働き方をし、集中力がある。

  3. 欧米の人は残業をする人間を無能の象徴とみなし、評価を下げる。

  4. 欧米の人はそもそもまじめに働かない。(2とは矛盾しますが。。。)

  5. 欧米の人は個人主義、助け合いの精神がない。

ステレオタイプが多いですし、ステレオタイプ同士で矛盾していたりします。

欧米の人はetc…etc…etc…

 

また、本や記事でこれらのステレオタイプについて触れる時、正直な話、日本での働き方改革のための欧米を比較対象としたい時の文脈だったり、成果主義を持ち上げる時、または日本の労働現場を卑下したり、揶揄したりする時に使われる使い勝手のいい方便なんじゃないかって思う時があります。

 

確かに、欧米の労働環境が日本に比べて圧倒的に柔軟で寛容な傾向があるのは間違いありません。

特に国際化が進み、国境の境が少なくなっている欧州においては昔から続く地域・地方の慣例を積み重ねた多くの決まり事に支えられる規律やルールは少なくなりつつあります。

 

とはいっても、そんな欧米の国同士ですら、各国の労働文化の些細な違いをめぐってお互いに批判しあっていたりします。

そこのお前が体験した範囲ではスペインではシエスタだからと急に応答しなくなるとか、ギリシャ人は毎回会議に遅れてきて話が長いとか、英語が公用語の場において、あえてフランス語しか使おうとしないフランス人とか。何があっても定時ピタピタに帰るオランダ人とか。

 

正直、欧米でまとめるには大雑把すぎますし、各国法律・制度、一般的な労働市場における常識や相場も違います。

実感では、冒頭のステレオタイプはあくまで一例であって、絶対的なものではありませんでした。

ぶっちゃけ会社と個人、その業務によっても差があります。

そこのお前も過去には日本で連続12か月合計で1300時間を超える残業をしていた時期はありますが、そういった働き方でも大きな成果を出せますし、逆に欧州での勤務のように常に8時間以上睡眠し、少ない仕事に集中して定時だけ働く方が圧倒的に思考が深まり、最終的には大きな成果を生み出すというやり方も経験できました。

 

個人的にはどちらがいいかというのは一概に優劣はつけられないですが、大きな仕事に絞って集中させた方が仕事当たりの成果が迅速で大きくなりやすいという実感はあります。

一方で、やはり時間を使った方が多少効率は落ちてもより多くの成果を積み上げることができるというのは事実だと思います。

 

そのため、前の記事のスーパーエリート(下記参照)やすでに上位の職務についている人は会社にいようがいまいが、常に仕事のことを考えている人も多いですし、業務によっては必要な質とアウトプット量を担保するために日本のように朝から夜遅くまで働き続ける職場や個人も存在します。(+強制されずとも、必要な成果を出すために時間が欲しければ、人より時間を使って成果を出そうとする人もいます。)

工場も7日間24時間稼働する工場だって普通に存在します。

 

 

sokono-omae.hatenablog.com

 

 

逆に、何があっても定時に帰る。帰った後に緊急の仕事だけをこなすことはあっても、定時以外には絶対に緊急でない仕事はしない。という人も多数います。

個人レベルでの働く度合いの調整も含めて自由なので、日本で取りざたされている働き方改革のように働きたい人すらも縛り込んで画一的な運用を実施しようとする考え方とは少し違います。

 

ただ、聞く限り、残業=無能という思考もちょっと違いました。

というのも、多くのオフィスワーカーは残業という行動が概念として根本的に理解できません。

 

なぜなら基本的にホワイトカラーの管理職は労働者に対しては時間内に終わる仕事しか振っていないはずだと信じているからです。

同時に多くの労働者は定時内で帰るものだと認識して仕事を振るので、決して欲張ったりしません。

(※とはいえ、前述のように一般的な労働時間より長い労働が必要な職務も存在し、それに対して残業代が出る場合もあります。)

 

実際に、時間をかけてやっている場合には、もっと端折ればいいのにとか、手を抜けばいいのにといった考えはしますが、残業=無能とまでは直結しません。

残業したとしても、その内容が伴ってさえいれば、評価されます。

 

当然、残業して100のアウトプットが出る人と残業せずに100のアウトプットが出る人では後者の方が評価が高いのは間違いなく、残業してまでがんばったな!!素晴らしい気構えと頑張りだ!とはなりません。が、逆も同様で残業を絶対悪と扱っているわけでもありません。

 

その辺の考え方って今の日本人の間で一般的になりつつある感覚とそう大きな違いはないんじゃないじゃないかって思います。

 

ただ、

日本よりもより明確に、会社は個人の人生の面倒を見る存在に非ず。会社との契約で自分を供するのは指定された業務(と時間)のみ。

その範囲では全力でやるけど、それ以外は自分の時間。だから、企業は人の時間の使い方にとやかく言うべきではないし、言われたって従う義理はなく、全力でやって評価されないなら仕事を変えるか悪い評価を甘んじて受ける。という割り切った考え方が目立ちます。

 

これにより、特殊な仕事でない限りは仕事でミスをしても人は死なないし、自分自身が消耗することは誰も得しない方向だから、そこの管理は自己責任で行い、悪い評価を受けたとしても自分自身が心身ともに健康でいられることを重視します。

 

日本でも欧米でも個人の人生の面倒を見ずに、個人の人生を食いつぶす会社は当然存在しますが、上記の考え方は過度に会社に入れ込まないことで労働者が労働者の価値を守っているという効果もあるようです。

(要は過度に会社に尽くし過ぎないことで、労働の不当廉売を回避している構図ですね。みんなが会社に尽くしすぎると会社はそれを当然と思い、スタンダードにするので、結果的には個人の粉骨砕身の努力が悪い方向に向かっていくというような。。。)

 

こうなると、労働者の価値が守られる代わりに、もたらされるサービスの質の低下や価値の享受に対するコストが上がったりするわけですが、そういった不便を受け入れても、無理なサービス提供はしません。

 

お客様が神様でもなければ、上下関係にあるものでもありません。そのため、非常にフラットな関係を築くとともに、無茶な要求や過当なサービスは排除します。

場合によってはお店が強気な態度に出て、SNS上で炎上するといったこともおきますが、それでも、常に100点満点を求めるというマインドセットというよりは、目的に対して、必要なだけできていればOKという考え方です。

 

それを不真面目・怠けている・ベストを尽くさないと解釈している論調もありますが、本当に対価の多寡に忠実です。

低い対価には露骨な低サービスを、高い対価には競争と共に高いプロフェッショナルレベルがあります。

全体的に日本より水準が低いと認識するのは大間違いです。

(欧州の先進国といわれるような国は日本よりも物価が高いので、相対的に日本と同じサービスを受けようとすると値段が高くなったり、日本と同じくらいの値段のところに行くと安かろう悪かろうな印象です。) 

 

同時に過剰な労働をしない代わりに自分のプライベート時間を生かして、スポーツまたは大学への通学も含めた勉強を行う人も多いです。

これにより、さらなるキャリアアップを図ったり、健康を保つ時間として充てたりするので、会社で働く時間が短いことが一概にトータルの人生で見たときに決して怠けているというわけではないのです。

 

それを体感した時にそういったことを実行している人々の新しい物事へのオープンな姿勢に合点がいきましたし、労働は人生の一部ではあれど、会社に依存しない人生の構築による日々の生活の安定を感じました。

 

そして、物事を楽しむ力があることを感じました。個人的に身の回りでよく見てきた仕事に人生を覆いつくされ、新しいことを始めるパワーと気力がなくなる悪循環とは全く別の積極性と柔軟性・学習する意欲を感じました。

 

さらには、一つのことに集中するまたは属する集団にすべてをささげることを良しとする傾向が強い組織が多い日本との違いを感ましたし、よく揶揄されるような働くことに対してちゃらんぽらんで不真面目な人たちではなく、彼らは彼らで人生に対して真剣に自分たちで考えて向き合っていることがわかりました。

 

そういう意味では日本人の方が無意識に案外集団と一蓮托生のような状態になったりして、新しいことの勉強や自分自身の新化を置き去りにし、キャリアや人生が行き詰ってしまうケースもありますね。

 

働く以外の生活を通して、彼らはお金を消費し、経済を回し、他者とつながり、人生を作っているような気がします。

そこのお前は日本にいた時は満員電車に揺られ、仕事をし、満員電車で帰って寝て。というセットの繰り返しが普通だと思っていたので、働く以外の人生を楽しむ力がそういえば失われている気がします。

 

こういった力を今一度思い起こしながら日本でも生きていければなと思いました。

 

日本と欧州の比較は今後もUpdateしていきます!

 

またねー