そこのお前の外資系勤務と与太話ブログ

凡人が行く外資系企業勤務やキャリアの与太話や裏話。緩いのと辛いのまぜまぜ。人見知りやビビりだって人生案外イケるじゃんって思ってもらうための与太話。毎週月曜・水曜・土曜日更新予定

結果にひたすら一喜一憂する上司の話

標数字の達成・非達成で一喜一憂する名物上司がいた。

 

標数字は年間で達成する数字であって、月間でも週間でもない。

が、進捗を追いかけるために毎週単位で数字が出るわけだが、毎回結果が出るたびに大げさに喜んだり、怒り狂ったりする人だった。

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割とありふれた近視眼的な上司。

結果が出ないとなんでだ!?と急に迫り、現在取り組んでいることをほったらかして、他にあるかどうかもわからない解決策を急に探させる上司の一人だ。

 

結果が悪いたびに仕事が増える。仕事が増えると優先順位がつけられなくなる。

 

まるでゲリラ豪雨のように土砂降りにさせるので、今まで部下が積み上げてきた城が押し流されるのである。

 

人によっては上司のプレッシャーを賽の河原と表現する人もいた。

要はせっかく積み上げた仕事も、結果が1週間でも悪ければすぐに一から積み上げ直しになるため、積み上げても積み上げても崩される様からそう呼んでいる。

 

長い付き合いで適度に聞き流せる人にとっては大丈夫だが、付き合いが浅い、またはまじめな人がその状況にあたると最悪だった。

 

一度結果が出ないとどんどん増える作業量、押し流される必要なタスク、伸びるお説教。縮まる結果の再確認スパン。

 

これを繰り返しているとアリ地獄のように引きずりおろされるのである。

 

今ではこういうような部下のことを考えているように見えないOr部下から見て理不尽と思えるマネジメントをパワハラというようになった。

 

まぁパワハラかどうかはさておき、本当の意味でパフォーマンスの向上につながる行動ができる上司ではなかったのは概ね正解である。

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その人は良くも悪くも感情表現が豊かな人だった。

長い付き合いがある人にとっては時に励まされ、時にうっとおしく思う。それでもまっすぐな人だから憎めない。そう思われるような人だった。

 

長い付き合いの人からはあきらめられているのか悟られているのかまぁあの人はそういう人だよね。という感じだった。

 

同時に彼はとんでもない大当たりをたまに出すのである。

彼にこっぴどく絞られた若手がたまに大化けするのである。

 

カニズムは不明だが、構図は以下である

  • もともとコツコツできるタイプの新人が彼から土砂降りしてくる無理難題を愚直にこなそうと必死に頑張り、徐々に力をつける。

  • 幸運も併せながら、壁を超えてよい結果を手に入れると、今までの土砂降りがウソのようにとんでもない称賛が返ってくる。

  • このびっくりするほど落差のある称賛に電撃的な感情を抱き、それ以降業務に邁進する。

  • だが、怒られたり褒められたりせわしないので、愚直に聞くことをやめて何を言われようが本質的に結果に対して意味のある行動のみに注力するようになる。

 

ざっくりまとめるとこのステップを踏むことができた幸運な若手がとんでもないスーパーエースに育つのである。

どういうわけかその当たり率が他の上司よりも高く、当たった時の破壊力が抜群に高かった。

 

それ故に社内でも真っ向からそのスタイルを否定したり邪険にはできないような不思議な立ち位置だった。

 

だが問題は以下である。

 

その上司は別に狙ってそういう風にしているわけではないのだ。

この4つのステップをすべての部下、より多くの部下が超えれるように狙ってやっているわけではないのだ。

 

それが非常に問題なのである。

 

結果的に過去のスーパーエースたちは彼が育てたといえるのだろうか?

もちろん、彼の影響がなければスーパーエースになったかどうかわからない。

精神的にタフで、必要なことが何かをどんな環境下でも見極められるレジリエンスのあるエースになったかどうかは不明である。

 

ただ、狙ってやっているわけではない上司が称賛されるのも同時に納得がいかない話である。

 

これがもし4つのステップに落とし込むため細心の注意と関心を払って進めているとしたら本物の教育者である。

 

だが彼は違う。彼自身も真面目であり、組織の目標や上の命令に従ってやらねばならないという強い意識が暴走し、コントロールできていないだけなのである。

 

それでも彼はスーパーエースの活躍と台頭を見ながら、「わしが育てた」とばかりに「あいつは若い時は本当にどうしようもなかったな~!」と周りに吹いている。

 

仮にも元上司である。

スーパーエースも面と向かってあなたのおかげではありませんとはさすがに言えない。

 

そんな間にスーパーエース達は会社を去っていくことも多い。

今いる会社でのキャリアの限界が見えてしまうのか、その上司に追いつき、追い抜くことを遠慮するのか不明だが、スーパーエース達はどこに出しても恥ずかしくない実力と自信をつけてよりレベルの高い会社に移るのである。

 

会社としてもこの流出問題は憂慮している。

それでも、もやもやがたまったまま会社は流れていく。

 

結局、残った結果は彼の土砂降りに流されて結果を手にすることができず、メンタルをへし折られかけたり、仕事に対して情熱をなくした大勢の人たちである。

 

新人の頃は必死で食い下がる気持ちだけで何とか駆け抜けることができる可能性が高い。

安定した地位や実績などの安住の地がない若手の方が今までの自分を捨てて殻を破ろうとする意識や情熱が高く、長く続く割合が多いからだ。

 

だが、一度情熱を失うと取り戻すのは非常に難しい。

そんなことはお構いなく今日も彼はせわしなく怒っている。

 

人はどこで化けるかはわからないし、偶然に過激な体験が人を進化させることも事実ではある。

だが、それを盾に自分の行動を振り返らない上司はどうだろうか。

これではまるでギャンブルである。

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果たして、彼の行動は会社に資する行動だといえるだろうか。

 

結果に執着することはあるべき姿だが、やり方は適切だろうか。

 

育ったスーパーエースの存在は、その他の部下を壊しても正当化される成果だろうか。

 

これが改善される見込みがない中で、彼は会社が残すべき人材といえるだろうか。

 

彼は彼が自己認識するほどに育成手腕があるといえるだろうか

 

そして、情熱の火を土砂降りに流された人々の人生に幸せはあるのだろうか。。。

 

それらを考えながらに感じた。

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こんな環境やギャンブル上司に壊されないためにも、いつでも退ける選択肢を手札の中に持てるようにしなければならないと。

その選択肢を持つだけでも十分心を強く持つエネルギーになりうる。

 

いくら制度やルールが整備されても、運が悪ければこういう事故にあう。

 

だから、本当に身を援けるのは制度やルールではなく、最後は自分自身の強さであり、負けないために準備する自分自身が持つキャリアの手札である。

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本当に個人にとって重要なのはパワハラ認定を巡って上司や会社と闘う事でもない。

気持ちの乗らない環境で結果が出るのをひたすら待つだけが解決策ではない。

 

いつでも切れるカードがあるという執行力をもつ心理的に内在する強さでしか現実的にメリットを得うる対抗・回避措置はないのである。

 

だからこそ、強くあらねばならない。 

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