そこのお前の外資系勤務と与太話ブログ

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【仕事術】メモを取らない人の言い分けを突き詰める【与太話】

メモしなくたって重要なことは覚えてる!

 

って開き直る人がいる。

 

まぁ本人にとってはそうなのかもしれないし、世界はそういう風に見えているのかもしれない。

 

  

それはね。

 

直ちに目に見える形で困っていないだけで、長期的には非常にたくさんの逸失利益を生んでいる

 

これに気が付かないだけだよっ

 

って言いたい。

 

それに、正直腹立たしい。

 

これの件どうなってますか?なんて聞いたりすると忘れていたりする。

そして、

「忘れてないよ!」

なんて飄々と覚えているふりをしてしゃべるが、明らかに覚えていた思考内容ではない。

 

意味ないと思って忘れてたと解釈するには苦しすぎるぐらい、「いいこと気が付くな!」なんて雰囲気でもう一度考え始めている。

 

「お前、寝てただろ!」

「寝てないです!」

 

と同じやり取りだ。

 

これで進めている仕事のスピード感が落ちることも多々ある。

 

確かにたくさんの仕事が舞い込んでいたり、他に注力しなければならない話が多かったりするとどうしても忘れる瞬間というのは出てくる。

 

人によっては自分が可能なレベルをはるかに超えて仕事を背負わされている場合もある。

 

これは仕方がない。人は不要な記憶を忘れることによって効率的に脳を運営している。だから、忘れることを責めるものではない。

 

忘れていたことを思い出し、逃した機会にがっかりすることは多くの人が経験することである。

 

問題なのは、自分が必要なことを一切忘れていないと考える心理である。

 

冒頭のケースも同じだ。

だが、記憶にすべてを頼る人たちは、それもまた忘れて自分が得られたかもしれない利益を逸していることに無自覚な状態が続く。

 

部下がこれを言い出したら呆れるが、まぁ上司側から見て問題ない範囲のパフォーマンスが出ていれば好きにやらせてやればいいと思う。

同時に育成ポイントとして改善を命じることも可能である。

 

問題があれば、強制的にメモを取らすなり細かくリマインドするなり対処法は様々だ。

 

が、上司や経営側がこれを言い出した時が非常に問題である。

一般的に彼らは作業を担う役割ではなく、情報を取り扱い、思考し、判断することを求められる職位だからだ。

この判断や思考が部下の行動を左右するし、その結果に影響を与える。

 

だから職位が上がるにつれて長期的な視野が要求されるし、多角的な視点と、高い戦略性が要求される。

 

そういう状態の中では「忘れている」ことによる損失の幅が大きくなるのだ。

だから、情報の取り扱いと判断における過程については非常に高いレベルが求められる。

 

この変化が早く、制約が増えたVUCA worldで記憶のみに頼って何とかできると考えるのは油断としか言えない。

 

上司や経営側は情報を絞り吟味しなければならないが、それをすべて記憶に頼るというマインドセットは非常に危うい。

より多くの情報を扱い、判断を積み重ねなければならないのだとしたら

 

情報の内容

情報の優先順位付け

目指す目的

目的の優先順位

自らの思考

 

これらをもっと厳重に取り扱わなければならない。

頭脳労働で飯を食うならばその扱いに対してプロフェッショナルでなければならない。

 

結果的に関心を払わないことを決断しているのであれば構わないが、そのふるい分けを記憶に頼って問題ない事例は限られている。

 

よほど再現性が高く、成熟した領域で長い年月をかけた人間が行うか、非常に限定的で、狭い領域のみで行う判断ぐらいのものである。

 

多くのホワイトカラーが行う仕事は情報をより多く把握、同時処理して判断できる方が有利な状況を作りやすい。

 

忘れて気が付かないエリアを平気で作るということはそれだけで目に見えない損をし続けることになる。

 

だが、そういう人間に限って言うのだ

自分は何とか出来ている!困っていない!

と。

こういう発言は自らの情報処理能力に自信を持っているケースがほとんどなのでよりタチが悪い。

自分は記憶に頼っただけでも十分できていると思っているのだ。場合によってはそれが出来ている(と思い込んでいる)状態を鼻にかける人すらいる。

 

このように天狗状態の上司や経営サイドを修正することが非常に難しい。

 

このタチの悪さがもたらすもう一つ問題点がある。

記憶に頼っていることを明言した場合、彼らが興味のない範囲や関心を払わない範囲が周囲にばれてしまうからだ。

 

だが、部下としては非常に指摘しずらい部分である。

部下が頑張って提案したことが忘れ去られていたり、部下の仕事の要点が忘れ去られると部下は非常に不愉快な心理を抱えることになる。

当然表には出さないが、積み重なると信頼関係を覆す要因となる。

 

彼らが行う判断や指示と彼らの思考の中で忘却された事柄に乖離がある場合、より一層不信感を高める。

 

そうすると、彼らはドツボにはまる。

不信感が生まれる理由が一生わからない。

だって、その原因を忘れているし、忘れていることに気が付かないのだから。

 

部下が我慢強くて、分別のつく、非常に有能で、優しい、配慮のある、出来た部下ならいいが、世の中そうはいかない。

むしろ、そういう部下だった場合、おそらくそう長くない間に追い抜かされてしまうだろう。

 

つまり、ひいては自らの頭脳労働者としてのピークの寿命を下げる結果となる。

 

 

まぁ、給料も上がらないし、別に高い給料でもないからそこそこでもいいかっていうのであれば構わない。

 

そうストイックにならずとも自由にできればいいやと考える人もいると思う。

 

人が忘れてもいいや!自分も忘れるし!って言いながらだいたいの忘却を許せるのならばありかもしれない。

 

それでも他人に不愉快な思いをさせたり迷惑をかけたりしないようにする意識は持たなければならない。

 

記憶に全幅の信頼を置けるほど素晴らしい頭脳である必要はないが、自分が逃している情報や見えていないものに対して関心を向け、極力配慮する技術があったほうが確実に困らずに生きられる可能性は高まる。