そこのお前の外資系勤務と与太話ブログ

凡人が行く外資系企業勤務やキャリアの与太話や裏話。緩いのと辛いのまぜまぜ。人見知りやビビりだって人生案外イケるじゃんって思ってもらうための与太話。毎週月曜・水曜・土曜日更新予定

【イップス】自分ではわかっているのに思い通りにならない話【仕事】

そこのお前の新人時代、どうしてもメールがきちんと打てなかった。

 

自分の思った通りの言葉と文章が出てこない。

 

直接話をする場ではすらすらといえる説明もメールに変わった瞬間なぜかちゃんとした説明ができなくなる。

 

どうしても言いたかったことと違う意味の文章に変わってしまう現象が起きていた。

 

自分でもどうしていいかわからないし、違う意味の文章がますます混乱を生み、自己嫌悪に陥る。

 

ああーこういう意味じゃないのに。。。。とか思いながら手が止まり、長い時間を食うので苦し紛れにえいやーで送信ボタンを押していた。

 

そして、予想通り混乱を生み出すのである。

 

結局、自分の評判が落ちる。

 

悪目立ちするようになり、ますますプレッシャーがかかる。

 

後で振り返ればなんてことはない使いなれた母語の文章化なのに、その時だけできない。

 

そして思った。

 

これはイップスじゃね??

 

って。

 

 

イップス

 

スポーツ経験者なら割と多くの人が経験していたりする。

 

一般的にはあんまり耳慣れない言葉ではあるが、該当動作の難易度に関わらず特定の動作が急にできなくなる精神・脳機能上の不調を指す。

 

プロ野球選手であれば近距離での簡単な送球ができなくなったりする現象がそれだ。

 

150キロをコーナーにきっちり投げ分けられる投手がピッチャーゴロを取った後に一塁に投げる送球や敬遠の為の送球を大暴投してしまうという話だ。

 

ピッチャーに限らず、外野手・キャッチャーなど様々なポジションで起こりうる。

最悪の場合は引退に追い込まれることもある。

 

野球に限らず、ゴルフや他のスポーツでもだ。

 

もともとイップスの語源はゴルフでの簡単なパターを決められない現象が起源だという説が有力。

 

正直、球児時代はそこのお前も一時期イップス気味だったし、後輩は完全なイップスだった。

 

キャッチャーとしてバント処理の後に1塁に投げる簡単な送球にとんでもない暴投をやらかすことが一時期だけ爆増した。

 

誰もが簡単だと思っているし、自分も簡単だと思っているのに思い通りにできない。

周囲からは罵声を浴びるし、自分の中でも自分自身に失望する。

 

このイップス、掘り下げていくと結構根が深い。

 

スポーツじゃなくたって、ビジネスの世界でも起こることだと個人的には思う。

ちらほらそういう事例もあるようだ。

 

トップマネジメントだって思考のどこかに何らかのイップスをその思考に抱えている可能性もある。

 

人によってはそれをトラウマと表現するかもしれないが、それとは別に何らかの自分でもわかっているのに思った通りにできない現象があるかもしれない。

 

便宜上、ビジネスイップスと呼ぶが、ここでは今まで出来た簡単なことが出来なくなる現象として話をする。

 

「簡単なこと」ができなくなる現象

 

今まで出来ていたものができなくなる。

 

これは一般にメンタルから来るものと認識されている。

技術や能力とは別になぜかできない。なぜかミスをするという場面がある。

 

人によっては勝負弱いと表現したり、鍛錬が足りないと表現したり、気持ちが足りないと言って片づけたりする。

 

だが、本当にそれが全てだろうか?

 

論理的に考えれば技術的・能力的な資質があれば回避可能なため、そう思われやすい。

 

気持ちが足りないと言ってしまえばそれまでなのだが、どうやって気持ちを足りさせるかということは議論されない。

 

気持ちは本人の意思でいくらでも沸き上がらせられる4次元ポケットがあるとでも言わんばかりだ。

 

だが、そんなことはない。

 

だから、何かをきっかけにしてイップスが発生する。

 

しかも恐ろしく簡単に。

 

他人から舌打ちをされたとか、罵声を浴びたとか、予想外の恐怖を味わったなど非常に多様でありふれた事が原因で発症する。

イップスは発生するが、克服できないものではないことがまたその論理に拍車をかける。

 

が、実はもう少し根が深い問題のようだ。

 

明確に決まった対処法がないため、取り扱いが非常に難しい。

が、大きく分けて二つの分別ができる

 

体の動作に関わる運動障害

 

精神的な原因による制御不良

 

特にスポーツの場合は体が動作しなくなることを指す。

スポーツ以外でも何らかの運動を伴う職業では字が書けなくなったり、道具を持てなくなったりするなどの現象が起こりうる。

(≒ジストニア

 

ビジネスの場合は思考や行動が動作しなくなると定義してみよう。

 

よっぽどのことがない限り、タイピングはできるし、人としゃべることはできる。

だが、どうしても特定の行動ができなくなるという現象が存在する。

 

これは動作だけでなく、思考もそうじゃないだろうか。

と冒頭の経験から思うのだ。

 

医学的、学問的な見地での同一性があるかどうかはわからないが、どうしても客観的にみて不可解な判断や決定はしばしば起こりうる。

 

おそらく、思考に関する場合は精神的な部分が影響しているんじゃないかと思うのだが、どうしても正常な判断を失い、損をする。

 

受験生が急に今まで出来た問題が解けなくなる事なんかはその一つといえるかもしれない。

 

これを特定することが難しい。

 

これが本人は合理的と信じているのか、本人もおかしいことを知っているのになぜ制御できないのかでも話が変わってくる。

 

極端な話、人見知りやビビりも思考イップスの一つかもしれないと思ったりする。

 

成功体験を少しずつ積み上げることで克服できる場合もあれば、少しの間離れることで自然治癒している場合もある。

 

その治癒にも数か月で治ることもあれば数年、または10年以上要する場合もある。

 

イップスの克服には本当に明確な出口の見えない過程が待っている。

 

苦しいのは本人だが、イップスであると認識していない周囲がそれに拍車をかけることすらある。

 

単純にもっと強いプレッシャーをかけてしまったりする。

 

理解不能な失敗にイライラして感情的な叱責を繰り返したりする。

 

これの治療には非常にタフな根気と観察がいる。

 

そして、誰しもがそういう状況になりうると知っておかねばならない。

 

だが、誰かの脱却体験は参考にはなるが、そのまま使えるわけではない。

 

一人一人症状が違うし、元々できないのか、急にできなくなったのか?

全体的に苦手な領域なのか、領域内の特定の部分だけできないのか

 

など見極めねばならない。

 

まだ一般的な概念として定着しているとはいいがたい状況だし、特に明確な根拠があって書いているわけではないが、頭脳労働におけるイップスは確実に存在すると思う。

 

人が仕事をする限り、避けては通れない問題かもしれない。

 

うつ病とまではいかなくても、こういった人に認識されない悪癖を抱えたまま日々の仕事に臨んでいる人がいるんではなかろうか。。。 

 

ちなみに、冒頭の話、

 

メールをメール画面ではなく、テキストパッドに打ち込むという対策を取ったことでなぜかそこのお前の悪癖が解消されました。

急に論理的に文章が打てるようになるのです。

 

謎です。

イップスとしか考えられません。。。

 

それが今日の話の元です。。。