そこのお前の外資系勤務と与太話ブログ

凡人が行く外資系企業勤務やキャリアの与太話や裏話。緩いのと辛いのまぜまぜ。人見知りやビビりだって人生案外イケるじゃんって思ってもらうための与太話。毎週月曜・水曜・土曜日更新予定

働き方改革。働かせ方改革。働かされ方改革。働かれ方改革。

 

あーもうぐっちゃぐちゃ笑

 

というわけで、思ったことをつらつら書いていきたいと思います。

 

働き方改革

 

 

そこのお前の会社にもがっつり波が来てます。

やれ、残業は何時間までだとか、頑張って効率化しろ!なんてね。

 

残業なし曜日とかいろんな施策・プレッシャーを交えながら業務効率化に取り組んでいます。

仕事は減らないけどねってみんながぼやきながら笑

 

現場サイドの皆さまには

楽になればいいけど、ただ今よりもっと速く走れ!って言われているだけで、実際その通りにもっと早く走ったら残業代がなくなって給料取り分が下がるなんて意味不明。

という不満が根底あります。

 

故に残業が減った分、社員に還元するスキームを用意する企業もありますし、何とかお金をかけて省人化を進める企業もあります。

 

まぁでも、そもそも長時間労働を正義という文化を変え、不要な業務を極力減らして、

・より必要な業務に使う時間と人的リソースを確保する。

・それぞれがベストな状態で仕事に臨めるような環境を整備する。

というのが最も根幹にある目的ですが、イマイチ業務が減ったと実感する人って多くないと思うんです。

 

それってなんでなんだろう?って思うんですが、

  1. そもそも効率化を図るために一時的に負荷が増す。
  2. 結局、減ったところに新しく順番待ちしていた仕事がのっかってくる。
  3. あきらめる勇気を持つ管理職と経営陣がそろっていない。(あきらめる選択ができる企業体系が整備されているかどうか。)

こんな話が周りで噴出しています。

 

会社としてルールを決めて画一的にアプローチしようと思っても、個別具体的な事例に対してすべてに効果がでることがないので、どうしても不平等感・フィットしない感が残ってしまいがちです。

 

一つの理由として、人は機械ではないので、効率の差異がでます。

同時に、寸分たがわぬ全く同じ業務はそれほど存在せず、担当内容によっては全く同じことをするにも必要な時間が異なりますし、重要度も変わってきます。

よって、人のバラつきと業務のバラつきがあることでより複雑化し、結局は細かい部分は自分たちで何とかしろって結論に陥りやすいですね。

 

とはいっても、一律残業上限だとか強制消灯だとかの荒唐無稽で乱暴に見える現場への一方通行的なプレッシャーですが、効果がないこともないです。

 

それは、マジで無意味なただ時間を過ごしているだけの人を駆逐するという意味では基礎的な雰囲気・組織的土壌が出来上がります。

ですが、副作用もあり、超絶一生懸命仕事をしている人にとっては、ただの不要なプレッシャーになってしまい、感情的な反発を招きやすいです。

 

要はどっちの方を重く見るかという話ですが、後者を定量化できないのでどうしても見落としがちになります。 

 

残業自体を区分けすると下記の考え方ができます。

 

これは業務の区分けにも使用されますが、業務に使われる時間のうち

今すぐ必要Or後々必要

重要な価値Orなくても対応可能

この2つの2択で

  1. 今すぐ必要で重要な価値を持つ業務
  2. 今すぐではないが、いずれ重要な価値を持つ業務
  3. 今すぐ必要だが、なくても何とかなる業務
  4. 今すぐ必要でもないし、なくても何とかなる業務

この2×2で分類することができます。

(※この必要性の判断がかなり難しく、部門最適を考えるならばいらないものの、その後の後続ステップを考えた場合、必要とされる業務もありますし、チームや個人の仕事上に存在する周囲との力関係により負担が増えているケースも多々あります。)

 

いったんこれは脇に置きますが、要は2番と4番をやめれば短期的には残業は減らせるからちゃんと選別して!という話はよくあると思います。

 

そして、見落としがちですが、

5、仕事をしていない

これがあり得ます。

要はこういったエリアをまず根絶するという意味で一方的なプレッシャーをかけることには意味があります。

 

 

さらに、こちらでも分けることにしてみました。

仕事をする人の種類も分けることができます。

 

この場合、“仕事をしていない“というのは論外ですが、

仕事量が早いOr遅い

仕事量が多いOr少ない

この2つの2択で分けることができます。

 

この2×2で見ると、

  1. 仕事が早いが、量が多い
  2. 仕事が遅くて、量が多い
  3. 仕事が早いが、量が少ない
  4. 仕事が遅いが、量が少ない

 

さて、こう分類した時に彼らの仕事の中で、先に分類した業務の種類の何%がこれに該当しているかを見てみればいかに個人感で成果の多寡がばらつくかがわかると思います。

 

この最初の②×②と2番目の②×②を合わせると、どうやって仕事配分を調節すればいいかを見ることができるようになります。

 

超短絡的には、同じ時間で成果を出したければ、1と3の人になるべく仕事を寄せていくしかない。

この1と3のグループに属する人に業務区分けの1(重要かつ短期)を強制的に配分し、それ以外の人には業務区分けの2(重要だが、長期)を寄せていき、すべての3(非重要だが短期)と4(非重要かつ長期)は余裕のある人がカバーするか他社に外注に投げるようにするという論理が成立する。

 

時間効率だけで考えるならばこうなる。

 

じゃあこうすればいいかって?

でも、たぶんみんな違和感バリバリだと思うんです。

 

こんなんうまくいきっこないって。

 

その通りです。

うまくいくわけがありません。

そもそも仕事のスピードだけが違うなんてことはないですし、仕事の質と個人のスピード以外の質にも影響されます。

 

それに、仕事の速い遅いに限らず、個人の適性や周囲の人間関係等も違いますので、そう簡単にコロコロと変えられるわけでもありません。

 

でも、これが今、日本の経営陣や管理職の現場で考えられている働き方改革の多くの現実なんです。

結局、そうなると、よりエースに仕事を集めて何とかするという形になり、エースとそうでない社員の待遇に差が出にくい年功序列制度を採用する企業の場合はエースがより不満を持って、働かないで早く帰れる人が得をするという方向になりがちです。

 

欧米のように個人の守備範囲を明確に決めない限り、同じ時間で勝負させようとするとどうしてもできる人に仕事が偏ります。

そして、年功序列の賃金制度を変えなければ、成果に格差があるのに賃金が変わらないという現象も併発します。

 

エースは常に仕事が終わるか終わらないかぎりぎりの勝負をさせられながら、のうのうと帰っていく仕事の配分が少ない人を見る。

ほとんど同じ給料で。ずっと後に起こりうる昇進があるかないかの差だけで。

 

だったら、エースはさっさともっと稼げる仕事につきます。集められた意味のある業務やトレーニングを行い、スキルをつけて。

 

さて、そもそもこの働き方改革自体が、だれが得するようにできているのか。

 

 

これは今まで労働市場に参入しにくかった人たちとそもそも仕事をあまりしていない人が得をするものです。

(※ついでに無駄な残業を排除する大義名分を得た大企業)

 

既存の企業を支える優秀労働者層が得をするケースは考えにくいです。

だって、難しい局面や大変な仕事は同じ時間でも何とかしてくれる可能性の高い彼らに集中するわけですから。

それに、優秀層は仕事を厭わずバリバリ働きたい人もいるので、彼らにとっては残業代というお金の稼ぎどころも失います。

 

それを、うまく現場を言いくるめるためかどうかわかりませんが、全員が得をすると嘘八百こいているわけです。

長期的にはより多くが得をする論理は通っていますので、社会のためにはよいですが、少なくとも過渡期は”誰か”が変化のあおりを受けます。

それを理想論で隠すので不信感が募るわけです。

 

それに、労働時間が短くなれば働くのが楽しくなるなんていう連中も存在しますが、本当にそう信じているのでしょうか?

 

仕事時間が短くなったら、雰囲気の悪い職場が変わるのでしょうか?

みんなストレスがたまらず、のんびり過ごせるからストレスが減るとでも本当に思っているんでしょうか?

 

ただ、ストレスにさらされる時間が短いだけで、つまんない仕事であることに変わりはないだけなんじゃないでしょうか?

仕事がやりたい人にとっては物足りなくて逆にストレスをためる場合もあるんじゃないでしょうか。

 

たぶんそこはやり方次第な部分もあるでしょうが、時間へのアプローチとは異なる策が必要だと思います。

 

まぁそんなこんなで時間に注目が行っている働き方改革ですが、仕事の質や仕事をする上での文化についてもっと切り込んでいく勇気がないとただ雰囲気が悪くなるだけになってしまいます。

 

働き方改革コンプライアンスリスクを回避し、さらに企業ブランド価値を上げようと思っている経営陣は結構ですが、その成果を今取りざたされている時間だけに注目して短期的な成果を目指すのはプロフェッショナルぽくない気がします。

 

短期的なKPIや数値目標に縛られる中間管理職と何ら変わりません。

それよりも文化や組織ごと変えていく推進力を与えるような改革を自分の会社には期待したいなと思います。

 

それに、そこのお前も欧州勤務経験者としてできることは表現していきたいなと。

 

ほいでは。