【外資系】世界に轟く最恐エリートの話 -その2-【体験】
前回の続きです。
世界レベルの人間クラッシャー!!
印象として海外の方が緩い印象を持っている方もいるかもしれませんが、そんな幻想もハナクソのように吹き飛ぶワールドクラスクラッシャーです。
いわばお雇い外国人で、北アジアにルーツがあるわけでもなければ、何か思い入れがあるわけでもありません。
そんなキングが赴任してきて以降、そこのお前の会社の管理職陣が恐ろしい勢いで虐げられているのを見ました。
(※そこのお前は平社員だったので、直接は関係ない状況でした。ラッキー)
まぁどういう状況かというと、業務上、各チームはそれぞれの目標数字(KPI)があるわけなのですが、それがターゲットに達していない状況がわかると激烈なプレッシャーをかけることから始まります。
いつ達成可能水準に戻るんだ?と状況を聞くところから始まります。
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来月までに戻せ。と脅す
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来月までに戻らなかったら週ごとに管理する。と脅す。(+実際にやらされる。この時点で管理職だけでは手に負えず、現場側の作業負荷が増える。)
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達成可能な状況でない状態が続いたら、直々に出てきて終日会議をする。
(※終日会議も生産的なことはなく、鬼ほど無理難題を吹っ掛けられて疲弊するまでやる地獄マラソンです。そこのお前も「状況を説明しろ」と言われたのでビビりまくりながら説明したら、「I don’t care!(知るか)」の一言で一蹴されたり散々な思い出ばかりです。)
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危険水域が続くと、来月以降お前の席に誰かが座っている(クビ・降格)と脅すこともある。(※管理職限定ですが、実際に一部権限を持っている。)
まるで、ターゲットを達成していない人間は人権がないかのように奴隷のように扱われます。
もう少し時間をかけたらよくなるとか諸般の事情は一切考慮されず、今どうなのか?ということのみでしか判断されないので、異様に難しいゲームを迫られます。
実際、ターゲットなんて年末までに何とか届くようにする程度の扱いのハズが、極端な場合で週単位まで細かく詰められてはできるものもできるようになりません。
そのレベルに関してはもはやお偉いさんのプレッシャーどうこうというよりは現場側でコントロールする話です。
こういうレッドゾーンに入ると全員疲弊することが見えているものだから、下は何とかして数字を合わせに行こうと躍起になります。
短期的なテクニックなどの小細工に走ったり、追い詰められてパートナー企業さんたちに無理を言って何とかしてもらうということを繰り返すうちにどこかが悲鳴を上げ、斃れます。
すると現場の回転が悪くなっていくわけですが、そうするとさらに鬼の形相でプレッシャーがかかってきます。その時点では既に疲労とプレッシャーで全員判断力が鈍っており、ただただ言いなりになります。
最終的には、リバウンドで返って大変なダメージを食らうわけですが、そう簡単に取り戻せない状況まで悪化しています。
いろいろな事情があるので絶対的な正答かはわかりませんが、そこのお前の実感では、数多くの有望な管理職や必死で頑張る管理職が嫌気がさすか精神を破壊されて会社を離れていきました。
元々、この会社、ワークライフバランスやストレスレベルについては悪い方ではなかったのですが、赴任以来、長時間残業と無理難題にこたえるためのプレッシャーのダブルコンボで急激に全員の生活が蝕まれるという事態でした。
このサイクルをまとめて説明すると、
- キングが鬼プレッシャーをかける。(キング=>部長クラス)
- キングの下の部長クラスが急激にかかったプレッシャーを和らげるため、現場側に一貫性のない指示やその場凌ぎの判断を下す。(部長クラス=>課長クラス。)
- 部長の下につく中間管理職がそれを現場に落とし込むために奔走し、正常な現場秩序を放棄し、常に非常事態のような状態に陥る。(課長クラス=>平社員)
- 最前線にいる人たちは日夜変わる指示と足りない数字に合わせて、関係する部門等と調整を取りながら何とかしようとするが、次第に取り返しのつかない大きな歪みとなり、破たんする。(全員)
- 破たんすると余計に数字的には悪くなるため、さらにプレッシャーが増す。以下無限ループ。
これ、別に外資系企業に限ったことでなく、運の悪い組織にあたってしまった場合にいつでも起こりうるプロセスだと思うんです。
数字が悪くなれば、現場は怠けていると上は考える(※特に欧米出身の人は日本人に比べて段違いにそういう思考なりやすい)。逆に現場側はむちゃくちゃなことするからこうなると上のせいにする。
相互理解がなされなければなされないほど、両者の溝は深まり、組織として機能不全をきたす。
1から4にかけて関係する人数が増えていくのですが、4レベルになってくると一人ではどうしようもないので、諦めちゃった方が早いんですけど、まじめに何とかしようとした人から順番に潰れていきました。
モチベーションがガクンと下がるないしは、長時間労働を継続したことで慢性的な思考力・判断力の低下に陥るなどして、明らかに個人のパフォーマンスが損なわれていました。
すると、堤防に穴が開いた状態になるのですが、その穴が広がって、③の階層の誰かもつぶれ始める。
そこのバランスを補うために次の3,4の階層の人がさらに犠牲になるというのがいわゆる取り返しのつかない歪みが大きくなっていく過程ですね。
つまるところ、これって階層が上がるにつれて個人が受けるダメージが減っていく仕組みなんです。
それがわかるほど頑張るのがアホらしくなってくるんですが、その果てに何が起こったかというと、退職していった人は本当に幸せそうです。
ワークライフバランスも戻り、ストレスが減り、中には収入まで上がちゃった人も。(うちの会社、そこまで給料悪くないはずなんですけどね。)
逆に残って頑張らされている人は地獄です。終わりなき地獄です。もはやドМです。
優秀な人から見切りをつけちゃうから悪循環に歯止めはかかりません。
こんなんパワハラで訴えりゃええやん!なんて思いました??ところがどっこい、海外の人なんでね、パワハラもくそもないんですわ。
もはや正論なんて通じやしないです。
加えて管理職対管理職の関係ですし、なかなか通常の国内の解決手段を用いることはできないですし、日本支社はその人の手綱を握る権限を与えられていないので、実効的なアプローチではありません。
今、冷静に振り返ると、こういう状況でどうやったら現場を預かるプライドを持って、無茶な指示や支離滅裂な方針に屈さず、一貫し、安定した長期的に最も利益を得られる仕事ができるかをもっと真剣に考えればよかったと思うんですが、そんなこと考えていられないぐらいに苛烈な状況にされてしまっていたというのが当時の状況だと感じます。
人の思考を鈍らせ、判断を鈍くするという意味では本当に組織が元気を失っていく過程を見た気がします。
ヤンキーじゃないですけど、上の人の評価のための数字なんてどうでもええねん!ぐらい突っぱねる勇気を持つにはどうしたらいいかってこれから先も常に向き合っていかなければならない過大な気がします。
どうせ疲弊して転職するなら逆にそれぐらいはつらつと評価数字に追い回されない、より多くの人が納得できる本当に価値のある仕事ぶりに注力したいなと思います。
いつでもそういう目をもって、意味のないストレスとの戦いを避けられる社会人になれる準備をしたいものです。
ひところ昔の一つの会社が人生そのものであり、キャリアの墓場であった時代よりはずっとそれがやりやすい環境だと思いますし。。。
それに人生を人らしく過ごすためにも、人の心は忘れないようにしたいものです。。。
今日のところはこんなもんで!