達成した結果より、新たにできるようになった事を褒めるべきという話
成長意欲を掻き立てる動機づけの話
そこのお前は外資系企業所属です。
つまり、何でも定量化して数字目標を作り、結果で人を評価します。
個人評価もそうですし、チームとしての評価や会社としての評価もすべてそうです。
結果を達成したかしなかったか。
基本的には結果にかかる比重は大きく、非常に重視されます。
もちろん、単なる数字だけでなく、結果としてどのような貢献がなされたかを定性的に評価するケースもあるわけなんですが、基本的には結果的にどうだったか?という点で評価されます。
まぁいい方によっては冷たい評価方式です。
ですが、それは仕方がありません。
ビジネスをやる以上、どんなことがあっても数字に反映されなければ立ち行かなくなってしまいます。
が、実際に中で人が働く上では少し違う考え方をした方が気持ちがいいと思うんです。それを痛感した初歩的な話をします。
そこのお前が初めての海外勤務にぶつかった壁の話
そこのお前にとっての初めての海外生活
ヨーロッパですら、慣れない時は非常に心細いものです。
最初は慣れるまでに時間がかかりました。
英語も思ったように出てこないし、表現力がない。
英語での思考が遅い分、テンポも悪い。
自分でももどかしさを感じる日々が続きました。
こんなスタートでした。
もちろん、時間を使うことで克服できるほどの地力はあったわけですが、それでも周りからは不十分であると思われていました。
毎日、劣等感と悔しい気持ちに溢れた日々を送っていました。
それは新入社員として入社した時の自分の無力さを容赦なく叩きつけられていた時期のことを鮮明に思い出させました。
そこのお前の脳裏には1年目に最低評価を取ったというトラウマが蘇りました。
社会人として慣れてくるとそんな気持ちを忘れてしまうものです。
ですが、ある程度鼻っ柱ができたころにへし折られることで気が付きました。
自分自身に自信が持てない時に何がその状況を打破したか。
- 誰かからの成長や努力の称賛
- 結果を達成し、それが何によってもたらされているかがわかっている時
この2点でした。
このうち、2に関しては最後に達成できるまではわかりません。
それに、いい状態であればわざわざ悩まずともできるわけです。
問題は、
自分に自信が持てない時に、正しい努力を継続する強さを持てるかどうか?
という点です。
ここにおいて、誰かから成長や努力の跡を見てもらっているという事実は非常に大きな効果を持ちます。
そこのお前も最終的にはコミュニケーションのスキルも非常に高まり、英語でのスピード感のある会話もできるようになってきました。
もちろん日本語でやるには遠く及びませんが、それでも少しずつ精度とスピードは上がってくるものです。
結局、英語に関して言えばやればやるほどできるようになるわけです。
その過程を欧州の上司がよく見ていてくれました。
最初のころよりも圧倒的にできるようになってきている
当初は心配したけど、出来るようになった。
まだまだ最高レベルとは言えないけど、十分に実力がついてきた。
元々の実力に加えて、足りなかった部分に力をつけてきているのは見ているよ。
と。
正直、欧州での良評価を得るにはあと一歩足りないものがその点だったわけだが、それでもその努力と成長の過程をしっかりとコメントしてくれました。
これを聞いた時に、そこのお前が経験した1年目の苦しい時期を思い出した。
正反対だった外資系企業1年目の経験
一年目の時には成長過程は特に着目してもらえませんでした。
やっていることや取り組んでいることが正しいのかどうかもわからない日々が長く続きました。
それと共に、結果が伴っていないことだけは知っていたし、その指摘だけは受けていました。
当然結果は出なかった。
が、今回は違いました。
自分ができなかったことができるようになったという事を見てもらうことができました。
それがそのまま自信につながり、積極性を生み出しました。
そこのお前のようなビビりには何よりも大切な言葉だったと思います。
外資系企業にあって結果にのみ執着しやすい環境の中で、ここの部分を見てもらえていたことは非常に稀有な事象だと思います。
これで自分の向いている方向性が正しく、取り組み内容も間違っていないと自分で自分を安心させることができました。
迷いがなくなったことで、自分の身の入り方がわかり、成長速度にもいい影響を感じるようになりました。
やはり人間である以上、論理だけでは動けない時があります。
自分のやっていることが正解であると信じられない時もあります。
特に難しいことや新しいことに挑戦する場合はそうなんじゃないかと思います。
そういう中で常に自分を信じることができることが理想ですが、誰もが獲得できる能力ではありません。
しかし、それは他人からでもサポートできる内容なんです。
結果ではなく、個人が辿っている過程をきちんと把握することで人は自分で自分に行うよりも強い効果で誰かに自信をつけさせることができるです。
大人になっても新しいことや難しいことに挑戦をする時は子供が育つ過程と構図はそう変わらないと言えます。
今より一歩を踏み出す時に失敗を恐れる心や自信がない不安を取り払うには結果による評価だけではありません。
自分自身への自信や恐怖感を抱かなくて済むと思える安心感も強い効果を持たせられるのです。
下手に褒めて油断したらどうしようと考えるのは損です。
人が迷っているのであればその迷いを確信に変えなければなりません。
この感覚を人に与えられる人間でありたい
管理職としてキャリアを歩む以上、結果につながることをやらなければいけないのは当然だが、人がそれだけでは構成されていないことをきちんと理解しなければなりません。
ロボットではない故に様々な迷いを生みます。
が、ひとたび自分の中で心が宿れば進化と成長が始まり、新しい可能性を生み出すことができるようになります。
それを的確につかみ、観察できる人でありたいと思っています。
人の進化や成長をコントロールできるとは思わないが、常に適切に刺激し続けられる人間でありたいわけです。
これに直接効くのは、
出来たことの評価ではなく、出来るようになったことの評価
だと思います。
だって、それを重ねてきたことが今の自分を支えているのですから。
そして、自己成長や変化は人が内発的動機を生む一番の起爆剤ですから。